鱗粉に情念見るは惡癖か
鱗粉に情念見るは惡癖か夕闇の中揚羽蝶舞ふ
吾のみに繩張り宣言したインコ今は疲れてすやすや眠る
蟷螂の子が服に附きをり鎌上げて唯唯可愛く木陰に放つ
酒枯れた聲が胸だに迫るなりシオンの歌に醉ひ癡れる夜
紋白蝶吾自轉車で横切るとその風蝶を卷き込みてどうもどうも
ひりついたといふ言葉で語られるあいみよんがとても不憫でならぬ
鶯が鳴ける場所ある吾が近隣平和の尊さしみじみしみじみ
ロックともフォークともいひ切れぬ故遠藤賢司ワールドにどつぷり浸る
五月雨に荒梅雨勿れと祈りつつ自然のこと故吾關せず
ブルーズにイカれた夜の思ひ出が甦る今日は醉ひ潰れよう
何かから追はれるやうにゴキブリが一目散に走り逃げ行く