俵萬智は70年代フォークに似たり
俵萬智は70年代フォークに似たり詠ひ始めた己の日常
雨音に梅雨の跫音聽こゆるや葉を打つ音をば大粒の雨
ロジックはよく解りし生成AIけれど巨大な闇の出現外ならず
未來には過去溢れるや生成AI學習Dataは全て過去なり
Dataなしそれでも答ふる生成AI嘘が嘘呼び渾沌を呼びしや
地蜂惑ふ窓をそつと開け逃がしたり長きに亙り吾が手に止まりて
ミサイルを全撃墜信ならば露滿身創痍ウクライナ萬歳
AIの本を書きをり感じるは電腦に最適化する人間の愚かさよ
死者たちの斷末魔さへ聽こゆるや生短しを歎くに歎けず
夏赫赫と坂本龍一聽いた後にラヂオ點けるとブルーズ流れ
オペラ聽きプログラムをや組み終はりツイート蒐集アプリで遊ぶ
惱ましき少ない豫算でやりくりす數字の振り分けに滲み出る人生
何故自死したか西岡恭三プカプカ聽いては唸らずを得ず
紋白蝶吾自轉車で横切るとその風蝶を卷き込みてどうもどうも
ひりついたといふ言葉で語られるあいみよんがとても不憫でならぬ
氣紛れに弄ばれつ吾が生は波に消えゆる泡沫なれば
吾である吾當て嵌めるその箍の禁忌破りて吾潰滅す
潰滅す吾は廢人爲り果せ救ひは埴谷の死靈とドストエフスキイ
初夏といへ朝晩冷えるまだ春殘滓生き延びたるや天仰ぎ見る