戸袋に雀の巣あり雛孵る
戸袋に雀の巣あり雛孵る吾が家かうして自然に還るや
酒枯れた聲が胸だに迫るなりシオンの歌に醉ひ癡れる夜
ブルーズにイカれた夜の思ひ出が甦る今日は醉ひ潰れよう
變はり者と言はれ續けて早六十年このまま驀進するぜよろしく世界
戀心密かに抱き暮らすれど想ひは溢れ出水の如し
何かから追はれるやうにゴキブリが一目散に走り逃げ行く
手摑みで摑まへし烏揚羽放しては殘る鱗粉生の足掻きか
晴れぬのは吾が心のみか五月晴れ冥き影射す吾が視界なり
がらんどう浅井健二の聲響く吾が胸奧哀しさ抱きつ