初夏の午後マドレデウスに調子合はせ
初夏の午後マドレデウスに調子合はせインコが歌ふやいと樂しげに
北風が南風に勝てりて寒くなり厚着す世界から身を隱すべく
野花摘む吾が影手折るが如く莖折るか斬首されたり吾が影の首は
死して尚屹度何かを思ふらむ亡骸ものと看做す能はず
死に化粧異樣に美し息を呑むこの美を表す言葉見つからず
林蔽ふ野生化した藤ダイダラボッチその手ビヨンと吾が顏叩く
夜歩きや靜まる街に目はあるや防犯カメラ吾を狙ひつ
假初めに此の世に涯があるならば水鏡てふ樣相してるらむか